第23章 合宿
「虹村さんさっき言ったじゃないですか。由良を一人にすると危なっかしいって。」
「言ったな。」
「さすがだなぁって思った。さすが元主将。観察眼すごいよ。」
虹村さんを褒める。
「私も思う。由良が本当の意味で一人になったらどうなるんだろうって。でもね、由良だって成長してるから私は信じてるの。最悪な結果になってほしくない。そのために虹村さんも赤司くんたちもみんな必要だと思う。私はいざとなったら由良を止めることもできないから、もし最悪な結果になるって分かったら由良を助けてあげて。お願い。」
なんか自分でも何言ってるか途中から分かんなくなっちゃった...。
ここで私が焦ってもどうにもなんないって。
深呼吸をして落ち着く。
「助けるのはいいが、柏木のこと俺はまだ何も知らねぇ。教えてくれねぇと何も出来ないんだけど。」
「...何が知りたいの?」
「何って言われると難しいな。...でもさ、お前もだけど柏木も他の奴らもぜってぇなんか隠してやがるだろ。」
「由良がみんなに絶対知られたくないことは私も他の奴らも隠すよ。でもね、そうじゃないものは私はなるべく知ってほしいと思ってる。本当は隠してることも全部言いたいけど、でも、みんなが知ることで由良が苦しむなら私は言わない。私は由良の味方だもん。」
私は虹村さんの目を真っすぐ見て言った。
虹村さんは私の言葉に何か言いたげだったが口を噤んで何も言わなかった。
その代わりに質問してきた。
「...柏木にとって家族ってなんだ?あいつ、家族のことが絡むとおかしくなるから気になってよ。」
「由良はね、家族を知らないよ。」
「家族を知らない?でもあいつにはちゃんと親いるじゃねぇか。」
「そんなの関係ないよ。親がいたって家族が分からない人なんていっぱいいるし、みんながみんな虹村さん家みたいに幸せだなんて思わないで。由良は普通だと思ってても私にしてみればあんなの家族っていう言葉が鎖になって由良を苦しめてるだけじゃない。」
ま、私も正直普通の家族がどんなのか知らないけど由良のが普通じゃないってことぐらいは分かる。