第23章 合宿
虹村さんが送ってくと言ってくれたから家までの道のりを今歩いている。
「ねぇ、虹村さんはどうして由良のことを気にかけてくれるんですか?」
ふと、そんな質問が口から出ていた。
「いきなりだな。」
「私も今突然思い付いたんですー。」
「そうだなぁ。なんかほっとけねぇんだよな。あいつ。」
「ほっとけない?」
虹村さんの方を見て首を傾げる。
「ほっとくと危なっかしいっつうか、うまく言えねぇけど一人にするとまずい感じがする。」
さすがあのキセキの世代たちをまとめ上がるだけあるわ。
「ねぇ、虹村さん。私お腹空いちゃった。マジバ寄ってきません?」
ちょうどいいところにマジバがあってそっちを指差す。
虹村さんは快く頷いてくれた。
私はチーズバーガーとアイスコーヒーを注文して、虹村さんはハンバーガーとポテト、ジュースを注文した。
奢ってくれるということで素直にお礼を言って二人で端っこの方の席に着いた。
「チーズバーガーってこんな美味しかったっけ?ここのチーズバーガー美味しい!」
感激する私を虹村さんは笑う。
「そんなにうまそうに食ってくれると奢ったかいあるな。」
「だってここのが美味しすぎるんですよ。」
「そんなうまいか?」
「はい、とっても。」
「そりゃよかったな。」
二人で他愛もない世間話をしながら食べる時間は楽しかった。
「それで?」
「はい?」
「なんか話したいことがあったんじゃねぇの?」
やっぱり鋭いなぁ。この人には嘘つけない気がするよ。ま、もういっぱいついてるんだけどさ。
「由良のこと、ちょっとだけ話してあげようかなと。」