第23章 合宿
みさきなでしこside
「...う...ん...。」
眩しい...。
目を腕で覆い、寝返ってから体を起こす。
「お。起きたか?」
「...目、開かない...待って。」
誰か分からないが目が開かないことには何も始まらない。
何度か瞬きをしてなんとか目を開けることが出来た。
ここ、なんか変な匂いすると思ったらやっぱり保健室だった...。
「目、開いたみたいだな。具合はどうだ?」
「虹村さん。...それって私じゃなくて由良に言うことじゃないの?」
「は?」
「一応私は大丈夫だけど、由良は疲れちゃったって。」
「オメー柏木だろ?」
「私は虹村さんがここまで運んで来たときの柏木とは別人だからね。」
「え、そうなの?」
「虹村さんも大丈夫ですか?合宿の時は変化に気づいてくれたのに。疲れてるんじゃないですか?」
「...そうかも。」
「私もう大丈夫なんで帰りましょう?」
ベッドから降りて置いてあったスリッパを履く。
ベッド脇に置いてあった荷物を持って保健室を出る。
「...オメーも柏木だけど、あいつは?大丈夫なのか?」
「うん?あぁ、大丈夫ですよ。ただ、人を起こすのは相変わらず苦手みたいです。」
「なんで?」
「...よっぽど昔のことがショックだったんじゃないですか?」
「昔のこと?」
「...ショックなことは何年経ってもやっぱり心に残っちゃうものなんですねー。」
虹村さんと廊下を何とも言えない空気で歩く。
私は起きるまでのことは記憶にないけどある程度は寝てる時に由良に聞いたから状況は分かる。
虹村さんが由良に聞きたいことは由良がみんなに知られたくないことだと分かっていたから、話題を逸らさず当たり障りのないことを虹村さんに伝える。
そのせいで虹村さんはなんだか腑に落ちないといった顔をしていた。