第23章 合宿
どうしようかと困っていたら救世主が現れた。
「虹村まで慌ててどうする。今一番苦しいのはこの子だぞ。」
「...そうっすよね。」
監督は柏木の背中擦りながら柏木が落ち着くまで何度も大丈夫と繰り返し言った。
俺はそれを見ていただけで何も出来なかった。
「柏木、大丈夫か?」
「...うん。」
「虹村。」
「なんすか?」
「保健室に運んでくれ。少し休ませた方がいいだろうから。」
「分かりました。...というわけで、柏木乗れ。」
しゃがんで背中を柏木に向ける。
柏木は立ち上がってふらふらしながらも俺の背中になんとかたどり着き、もたれかかった。
そんな柏木をおんぶして保健室に運ぶ。
「...にじむらさん。」
「なんだ?」
「...ごめんなさい。」
「...俺の方こそ悪かったな。何もしてやれなくて。」
「...にじむらさんはわるくないよ。わるいのは、ほんとうになにもできないのは、わた、し...」
ゆっくり紡ぎだされてた言葉が途切れた。
疲れて眠ってしまったのだろうか。
何度か声を掛けたが反応がなく、寝息も聞こえてきたためそうだろうと思うが。
でも最後の言葉がスゲー気になる。
悪いのは、本当になにも出来ないのは私、か。
オメーは一体その小さな体に何を背負ってんのかね。
虹村side終わり