第4章 多重人格の私
「お、ここがオメーの家か....。すごいとこに住んでんな。」
家の前に着き、虹村さんが私の住むマンションを見上げている。
「んじゃ、俺らはここでー。じゃあな....って。」
私は無意識に虹村さんのブレザーの袖を引っ張っていた。
赤司くんの手も一旦は離したが、なぜか掴んでいた。
「柏木、手、離してくれないか?」
「....やだ。」
「やだじゃねぇよ、俺ら帰れねぇだろうが。」
「まだ....一緒がいい。」
「一緒がいいってオメーなぁ....。どうする赤司?」
虹村さんが困って、赤司くんに話を振る。
「.....柏木、不安なことがあるなら今言ってくれないか?」
目線を合わせて聞いてくる。
不安なこと....?
なにが不安なんだろう....。
分かんない。
「....分からない.....けど、部屋暗いから怖い....。」
「....じゃあ俺らが部屋の電気点けに行ってやるからそこまでだぞ?」
虹村さんがそう言ってくれて嬉しかった。
「赤司は帰るか?」
「いえ、俺も行きます。だから柏木、手の力を緩めてくれないかな。痛いんだが。」
手....?
「....ん、分かった。」
「どんだけ手の力強かったんだ、オメーは。」