第23章 合宿
10分休憩の間にみんなにドリンクを配る。
配り終え、壁際に寄って斜め上を見て少しだけぼーっとしていると声を掛けられた。
「柏木、何やってんの?」
「....。...虹村さん。」
少し反応が遅れたが相手は気にしていないようだ。
「あそこを、見てた。」
「ん?俺には何にもないように見えるけど、何見てたんだ?」
指を差したところには虹村さんの言う通り何の変哲もないただの壁があるだけで変わったところは何もない。
「...ただあそこを無心で見てただけ。よくあることだから気にしないで。」
「ふーん、そうなんか。...つか、敬語。それにオメー、途中消えたよな?昼飯ん時いなかったし。」
「...分かりません。」
「は?分かんないわけないだろ。自分のことだろうが。」
「....。...虹村さんには理解できないと思います。だから放っておいてください。」
虹村さんとの会話を強制的に終了させ、そこから去る。
何故か無性に腹が立った。
何で自分のことなのに分からないとか何を言ってるんだ、そんな風に私には聞こえた。
虹村さんにはそんなつもりはないと思う。
でも私は虹村さんの何気ない一言にイライラしている。
虹村さんだって出来てないじゃない...!
人の気持ちを考えてから発言しろって、自分が出来てなかったら意味ないだろうに。