第23章 合宿
考えてみればこれまでにもあった。記憶がなくなること。
どうしてかは分からないけど記憶が飛んでいることがよくあって、思い出してみるけど全く何してたとか分からなくて、その時のことを人に聞かれても分からないから分からないと答えるしかないのだ。
人格が交代してて記憶がないのと一緒だろうと思っていて今まであまり気に留めなかった。
私の記憶が飛んでいるのは人格交代しているからではないと思う。
なんとなくそう思う。
虹村さんに対してのイライラも考え事をしている内におさまってしまった。
ホイッスルが鳴り、みんなが監督とコーチの元に集まる。
私も部員たちの後ろに立って話を聞く。
今から試合形式でやるようだ。
部員たちが散らばり準備を始めた。
そんな中私は監督に呼ばれて、上から一緒に試合を見ようと誘われた。
今日はさつきも一緒に。
いくつかのチームに分かれて試合が始まる。
キセキの世代たちはそれぞれ別のチームに配属されている。
力を分散させるためだろうか。
考えるのを止めて、コートを見る。
「ねぇ由良ちゃん。」
「なに?」
「上から見る試合っていいね。横で見てるのも迫力あるけどたまにはこういうのもいいね。新鮮だよね。」
「...そうだね。」
コートを見続けながらさつきと話をした。
私もさつきの意見には同感だ。
迫力あるベンチでの試合もいいけれどたまには他校の試合を見るようにこんな風に上から見るのも悪くない。