第23章 合宿
気付いたら布団の上で寝ていた。
私、何して...。
起き上がらず布団の上でじっとして目を開けぼんやりと考える。
確か今日はよく眠れたから仕事して...それから、黄瀬くんが来て大変って...赤司くんと青峰くんが怪我したから手当てして...。
そのあとは....。分からない。
そのあとのことはどうしても思い出せなかった。
それ以上は考えるのを止めて起き上がった。
「起きたか?」
「...起きた。...私、どうしてここにいるの?」
「...覚えていないのか?」
「怪我の、手当てしたところまでしか覚えてない。」
「そうか。」
声を掛けてきたのは監督だった。
少し話してから監督はあごに手を当てて考え込み始めた。
それから体調のことを聞かれて、大丈夫だと答えたから一緒に体育館に向かうことになった。
「そういえば君は昼を食べてないんだったな。」
「そうなの?」
覚えてないからそんなことを言われても首を傾げることしか出来ない。
体育館に着くと、コーチの元に行って少し話をしてから監督と別れ、仕事に戻った。
「さつき、仕事任せてごめんね。」
「ううん、全然大丈夫だよ!それより由良ちゃんは平気なの?」
平気、とは何のことだろう。私は今日体調はすこぶる良い。それはさつきもよく知っているはずなのに。
どうしてそんなことを聞くのか分からなかったから話を合わせて答える。
「うん。平気だよ。」
「良かった!」
「さつきは眠くないの?」
「私はもう十分いっぱい寝たし大丈夫だよ。ありがとう。」
お礼を言われるとちょっと嬉しい。
どういたしまして、と言ってドリンク作りに行った。