第23章 合宿
手が掴まれている状態のまま、しばらく大人しくしていると呼吸も落ち着いてきた。
「...大丈夫か?」
声の方を向く。ずっと私の手を掴んでいたのは赤司くんだった。
「...うん。...ごめんね。」
「何があった?」
何があったと聞かれてさつきを見た。
「さつきが...あの人と重なった...。」
「あの人?」
「....。」
赤司くんの問いに私は無言を貫いた。
「...とりあえず桃井を起こそうか。」
赤司くんはそう言ってさつきの体を揺する。
だけどさつきは起きなくて、そうしたら赤司くんがさつきの口と鼻を塞いだ。
さつきは変な声を上げて何度か瞬きをしてから体を起こした。
その瞬間私はさつきに抱き着いていた。
「よかった...!」
「由良ちゃん、ど、どうしたの?!」
「さつきが...もう起きないんじゃないかと思った...。よかった。」
嬉しくて嬉しくて涙が出る。
さつきが起きた、その事実が嬉しい。
「由良ちゃんなんで泣いてるの?」
「....。」
「由良ちゃん?」
さつきが私の名前を呼んでる。
...返事したいのに、出来ないよ。
私の意識は迫ってきた睡魔に飲み込まれていって、まぶたは私の意思に関係なく閉じた。