第4章 多重人格の私
「....早く帰りたいんじゃないの?」
「なんでそうなんだよ?」
「....虹村さんがイライラしていると思ったからじゃないですか?」
あれ、なんでわかったのかな。
赤司くんエスパー?
「あ?そうなのか?」
「....うん、違うの?」
「ちげーよ。」
なーんだ、違うのか。
びっくりしたー。
「赤司持ってねーか?」
「持ってます....けど。」
さも当たり前のような顔をしてカバンからしわ一つない綺麗なシャツを出す。
「な、なんで早く言わねーんだよ!」
「サイズが合わないかと思って。」
「いけそうじゃね?赤司、背低い....し。うっ....!」
虹村さんが睨まれてお腹を殴られる。
「....大丈夫?」
赤司くんからなんとなく黒いオーラが見える。
「だ、だいじょぶ....。赤司てめー。」
虹村さん顔怖いデス....。
「今のは侮辱した虹村さんが悪いです。
さ、柏木、これを着てみてくれ。」
シャツを渡されて、背中を押される。
ブレザーを脱いで、虹村さんの体育着を脱いで赤司くんのシャツを着る。
赤司くんの....シャツ....。
着るのに緊張してきた。
袖を通す。
やっぱり長かった。
ボタンを上からかけていく。
うん、ちょっとおっきいけど平気かな。
赤司くんのブレザーを持って二人に姿を見せる。
「お、いけるじゃん。」
虹村さんがこっちを見て言う。
「少し大きいけど、大丈夫みたいだね。」
「....うん。はい、ありがとう。」
ブレザーを渡す。
「こちらこそありがとう。」
渡されたブレザーを着る。
「よし、柏木が準備できたら帰るぞ。」
外で待ってると言われたから急いで準備する。
靴下と上履きを履いて、脱いだものをカバンに詰める。
ブレザーを着て、ちょっと小走りで保健室から出る。
「お待たせ....しました。」
「うし、帰るか!」
虹村さんの声で歩き出した。