第23章 合宿
「由良ちんさ~、さっきのわざとだよね~?」
さっきのとは神経衰弱を指しているのだろう。
紫原くんがお菓子を食べながら突然切り出した。
「...わざとってなにが?」
「オメー、さっきのわざと負けたよな?って紫原は聞いてんだよ。」
虹村さんが横から口を出す。
「そうだよ。だってそうじゃないとつまらないし。」
私はあっさり認める。
「つまらないって何がつまらないんだよ?」
「...別に一人勝ちしても良かったけどそれじゃあみんながつまらない。でも力を制御すると私が楽しめない。...そんなのフェアじゃないでしょ?」
「だからわざと自分は一枚も取らず一番狙いやすかった鈴木さんにカードをたくさん取らせて勝たせた、そういうことですか?」
「それなら青峰でも良かったんじゃねぇか?」
「そんなん出来るわけないじゃん~。峰ちん馬鹿だし。」
「青峰くんはゲーム中適当にカードをめくっていました。だからいくら柏木さんでも青峰くんを勝たせるなんて至難の業だと思いますよ。」
そう、青峰くんを動かそうとしても動かせなかった。
だから青峰くんの次の鈴木さんを狙った。あの人は青峰くんほど馬鹿じゃないけど単純で動かしやすかった。
狙い通りに動いてくれて本当に楽しかった。
私だけのマイルール、私は一枚も取らない代わりに狙った人をその人に気づかれず動かして優勝させる。
これでみんなも楽しめて私も楽しめるゲームの完成だ。