第23章 合宿
由良side
虹村さんにコツを教えてもらってボールをゴールに向かって放る。
ボールは綺麗な放射線を描いてゴールに入った。
「お、すげぇじゃん。」
「入った...。」
すごい。体育の授業でだってあんまり入ったことないのに。
虹村さんの教え方が上手だからかな。
ゴールの下に転がるボールを拾いに行く。
「虹村さんのおかげ、です。教えてくれてありがとう。」
「いや、そんくらいいいって。」
虹村さんにお礼を言った。
そのまま虹村さんがバスケをしているのを見ていると入り口の方から声が聞こえた。
「ここにいたのか柏木。」
「お。赤司か。って赤司?!」
「虹村さんおはようございます。」
赤司くんが体育館に入ってきた。
虹村さんは赤司くんの顔を見て驚いている。
無理もないだろう。
赤司くんはさっき私がメイクをした状態で私たちの前に現れたのだから。
目尻だけに黒いアイラインを引いて黒いマスカラをまつげに塗り、頬には薄くチークをのせて唇には赤い口紅を付けた。
赤司くんがもし気づいても水では落とせないようになっている。
「あ。赤司くんだ。」
「柏木、なんだこれは!早くこれを落とせ!」
赤司くんは怒っているようだった。
「...じゃあ、私のお願い一つだけ聞いてくれる?」
「なんだ?」
「写真撮りたい。」
「は?」
虹村さんと赤司くんを連れて部屋に戻る。
二人を廊下に待たせて私は部屋の中のカバンを漁って携帯を取り出す。
再び廊下に出て待たせている二人のところに戻る。