第23章 合宿
「...どうして頑張るの?」
「あ?」
俺は最初言われてる意味が分からなくて聞き返した。
「どうしてみんな、あんなにつらい練習を頑張れるの?」
「どうしてって...。つらくてもやっぱりバスケが好きだからじゃねぇの?」
「好きだから、頑張るの?」
「俺は少なくともそうだな。それにやっぱ勝ちたいしそのためには強くならなきゃいけねぇし。そういうの込みでバスケは好きだな。」
「へぇ。」
柏木はなんだか浮かない顔をしてボールを取りにボールの方へ歩いた。
そして、俺の方にボールを持ってきて言った。
「...虹村さん、どうやったらゴールに手が届く?」
「は?いきなりどうした?」
「...やっぱり身長ないとダメかな?」
「あ、あぁ...。そうだな。」
さっきの雰囲気と全く違う柏木に戸惑う。
「じゃあ、虹村さんがシュートするところが見たい。」
そう言われてボールを渡された。
「あぁ。いいぜ。」
ゴールの前に立ち、膝を軽く曲げてゴールを見据えて飛ぶ。
ボールは放射線を描いてゴールにスッと入る。
その瞬間拍手が聞こえた。
「やっぱりすごい。どうやってやったの?」
柏木がなんか知らんが興奮しているような気がする。
落ちているボールを拾いに行ってから柏木にボールを渡した。
「オメーもやるか?」
「やる。」
初めて柏木のこんなキラッキラした顔を見たかもしれない。
黄瀬ほどではないが、なんか犬っぽく見えてきた。
柏木って意外と可愛い奴なんだなぁと思った。
虹村side終わり