第23章 合宿
「柏木、俺に何をした。」
「教えなーい。」
赤司くんが怖い顔で睨んでくるがそんなこと気にしない。
「赤司くん、可愛いよ。」
「可愛いと言われても嬉しくないんだが。」
困った顔をしている。
あまり見たことのない顔を見られて嬉しく感じた。
「そろそろ俺は部屋に戻るよ。みんな起きているだろうし。」
「うん。」
私はその場に座ったままで手を振った。
赤司くんが見えなくなるまで振った。
あ。写真撮るの忘れた。
まあいっか。どうせまた来るだろうし。
それにしても本当に可愛かった。
一人で笑う。
さつきは...まだ寝てるか。
部屋の中を覗いてみる。
部屋はカーテンで光が遮られているため暗く、さつきの静かな寝息が聞こえた。
私は早めに着替えて髪も結んで体育館の方に歩いた。
体育館は窓もドアも閉め切られていて、電気もついていないからちょっと暗かったけど外の明るさもあって少し薄暗いだけだった。
特に鍵のついていない体育館に勝手に入って色々用具があるところからボールを一つ持ってきた。
スリーポイントの手前ぐらいでボールを構える。
そして、投げる。
「...入らない。」
バスケなんて体育の授業ぐらいでしかやったことがないしいつも見ているだけだから入ったとしても多分まぐれだろう。
ボールを取りに行くためゴールの真下を通ってふと気づいた。
ゴールってこんな高いんだ...。知らなかった...。
届くはずもないゴールに手を伸ばす。
あそこに届くには背丈とジャンプ力が必要なんだなぁ。きっと。
ダンクシュートが出来るのは青峰くんとか紫原くんとか?
中学生にしてはみんな大きい、よね...。
なんかよく分かんないけどすごいなぁ。