第23章 合宿
「ねえ、さつき。まだ時間あるし寝てきたら?」
「うん、そうさせてもらおうかなぁ。」
さつきはあくびをしながら返事をして立ち上がった。
「じゃあ俺も部屋に戻るよ。」
そう言って赤司くんも立ち上がって歩き出そうとするのを私が止めた。
「赤司くんもこっち。」
「え?」
赤司くんの手を引っ張って女子部屋の方に連れていく。
部屋に着いたら、赤司くんには廊下で待っててもらってさつきを部屋で寝たのを見届けてから私は廊下に出た。
「柏木、俺をこんなところに連れてきて何をする気だ。」
赤司くんは壁に寄りかかって私のことを睨んできた。
「...赤司くん座って座って。」
赤司くんの問いには答えず、肩に手を添えて座らせて私も座る。
「目、瞑って?」
「は?」
「いいから。」
赤司くんは渋々だが、目を瞑ってくれた。
「私がいいって言うまで開けちゃダメだよ。」
そう言って、部屋から持ってきたポーチの中身で赤司くんに色々悪戯し始める。
「ねえ、赤司くん。」
「なんだ?」
「私、合宿に来れて良かった。夜と食事の時間は苦痛だったけど、みんなのことを知れて嬉しかったし楽しかったよ。赤司くんにはいっぱい迷惑かけちゃったけどありがとう。」
「...どういたしまして。」
「私じゃ頼りないかもしれないけど、赤司くんは私の....私を助けてくれた人だからね、何か困ったことがあったら私が助けるから何でも言ってね。」
「...あぁ。」
「もう目、開けていいよ。」
赤司くんが目を開ける。
私が赤司くんにした悪戯。それはメイクだった。
赤司くんにみさきなでしこ直伝のメイクを施した。絶対似合うと思ったから。
「似合ってるよ。」
「は?」
赤司くんは何をされたのか分からないといった状況で首を傾げていた。