第23章 合宿
朝になった。
小鳥のさえずりが聞こえた...ような気がした。
由良ちゃんの話を聞いてから自分なりに考えて思っていたらあっという間に時間が過ぎていって、結局一睡も出来なかった。
これ以上布団に入っていても仕方ないから起き上がり立って伸びをする。
少し廊下に出てみた。
まだ空はほんのり薄暗い。
由良ちゃんもこの景色を合宿が始まってからずっと見てたのかな...。
ふぁ~
「それにしても眠いわぁ...。」
大きなあくびが出る。
気分転換に廊下を歩いてみようと思った。
「...桃井か?」
自分の名前が呼ばれてそちらを向く。
「あれ?赤司くん。早いね。」
「桃井こそ。今日はどうしたんだ?柏木は?」
「ちょっと考え事してたら朝になってて...。由良ちゃんなら今日は部屋でぐっすりだよ。」
「そうか。...俺で良ければ桃井の悩み、聞こうか?」
「いや別に悩みってほどじゃ...ないんだけど...。」
「だが桃井に一睡もさせない悩みに興味はある。話してくれないか?」
「...赤司くんには敵わないなぁ。」
私は由良ちゃんに悪いと思いながらも昨夜のことを赤司くんに話した。
「なるほど。...教えてくれてありがとう。」
「どうにかして由良ちゃんを助けてあげることって出来ないのかな。」
「難しいだろうが、出来ない事ではないと思うよ。ただ...その大好きだった人、というのが気になるね。」
「本当だよね。誰なんだろう。私が考えてみたのは親とか兄弟だけど...」
「柏木の親は会ったことはないが生きているというし兄弟がいるという話も聞いたことがない。」
「うーん。」
それから二人でたくさん考えた。
結論は出なかったけどでも、ちょっとずつ前に進めている気はする。
桃井side終わり