第23章 合宿
「...私ね、ずっと、後悔してることがあるの。」
「後悔?なにに?」
「私の...大好きだった人を、助けられなかったことに。」
「...その、大好きだった人は今どうしてるの?」
「...死んじゃった。」
「えっ...!」
「...私が寝てる間に、死んじゃったの。」
「....。」
「だからね、ずっと後悔してるの。後悔して、後悔し続けて、そしたらね、眠れなくなっちゃった。」
「....。」
「今は家の中では眠れるけど、環境が変わるとやっぱりダメみたい...。...さつきは私を...」
「なぁに?」
「...ううん、やっぱりいいや。...おやすみ。」
話を自己完結させて目を瞑った。
話を終えた後のさつきの顔が目の奥に焼き付いて離れない。
可哀想って、顔してた。
私が欲しいのはそれじゃない。
嗚呼...心臓の音が聞こえる。
さつきは生きている。
そんな、当たり前のことさえも夜の闇が私を混乱させて分からなくさせる。
いつからだろう。こんな風になっちゃったのは。
桃井side
どうしよう。
由良ちゃんの眠れない原因聞いてから全然眠れない!
まさか由良ちゃんの過去にそんなことがあったなんて...。
大好きだった人って誰なんだろう。
大好きだった人と死別...。由良ちゃん、どんな気持ちだったのかな...。
あー、もう!このまんまじゃ、今度は私が一睡も出来ずに朝になっちゃうよ~!
しばらく眠れそうにないから由良ちゃんの寝顔をとりあえず眺めていた。
すると、由良ちゃんの左目から涙が流れていることに気が付いた。
そして何かつぶやいている。
声が聞こえないから口の動きだけで頑張って読み取ってみる。
つ、ら、い、よ。
そう呟いている気がする。
つらいって何がつらいんだろ...。
私に出来ることがあったら何でも言って?
私は由良ちゃんのお友達なんだから。
そう念を込めて頭を撫でてあげた。