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トリップしちゃいました

第23章 合宿


ぞくぞくと部屋に人が集まってきた。


コーチがなんかの紙とペンとたくさんの百人一首を持ってきた。


「始まるみたいだな。」


「監督は参加しないんですか?」


「あぁ。私は詠む係だからな。」


「そうなんですか。」


「ほら、行ってきなさい。真田さんが適当にチーム分けしてくれたようだ。」


「はーい。」


「花火忘れないでね。」


最重要事項を監督に一言残してからコーチの持ってきた紙の元に行った。


チーム分けの結果、私は虹村さんと黄瀬くんと同じチームになった。


知らない人じゃなくて良かったと心底思った。


さつきはテツヤと同じチームになれて嬉しそう。



「おし!目指すは優勝だ!」


「柏木っち、虹村さん、よろしくっス!」


やたら声の大きい二人に挟まれて耳を塞いだ。


「柏木っちは百人一首得意っスか?」


「...ううん。」


「虹村さんは?」


「....。...とにかく!頑張るぞ!」


「...得意じゃないんスね。」



そんなこんなで大会は始まった。


コーチの作ってくれたトーナメント表を見てみんな位置につく。


札をごちゃごちゃに並べて数秒の暗記時間が与えられた。


ホイッスルが鳴り、監督が最初の句を詠み始めた。



私たちは初戦勝利した。


圧勝だった。


「やったっス!柏木っち、得意じゃないなんて嘘じゃないっスか!」


「...得意じゃないよ?」


黄瀬くんの言葉に首を傾ける。


「この調子でどんどん行くぞ!」



次の試合も圧勝した。


忘れていた句を最初の試合で全て覚え、配置も完璧に覚えた私には札を取るなんて造作もなかった。


その度にすごいと言われたが、なにもすごいことをしていないのにすごいと言われて意味が分からなかった。


黄瀬くんからは抱きつかれ、虹村さんには頭を撫でられ。


私たちは準決勝まで上り詰めた。


幸か不幸かここで当たったのが赤司くん率いるチームだった。
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