第23章 合宿
大部屋にさつきと一緒に行く。
その部屋は名前の通り本当に大きくて部員全員が入ってしまうほどの大きさだった。
まだお風呂に入っている人もいて少ないが全員集まったら人口密度がすごいんだろうな。
監督が端の方で本を読んでいた。
さつきに引っ張られてそっちに行くことになった。
「監督!何読んでるんですか?」
さつきが監督に話しかけた。
「桃井か。これだよ。」
監督がさつきに読んでいた本を手渡す。
「犬がバスケで世界征服?何ですかコレ。」
「中々面白い話でね。柏木も読んだんだがどうだった?」
私に突然話が振られた。
「...変な話だったけど面白かった。」
「何その言い方~。すごい気になるんだけど。」
「ははっ。」
監督が声を上げて笑う。
「ねえ、豪華景品て何があるの?」
「ん?」
「あ、それ。私も気になってた。」
「それはあとのお楽しみだよ。」
「...花火は?」
「花火?」
「花火はないの?」
「柏木は花火が欲しいのか?」
「うん。」
「そうか。では今日この百人一首大会で頑張ったら褒美に後日あげよう。それでいいかね?」
「うん!」
さっきまでの私はすごく顔が緩んでいたと思う。
目をキラキラさせて無邪気に笑っていたという自覚がある。
さつきもそう言ってたし。
あんな由良ちゃん初めて見たって。
だって、花火...夏と言えば花火でしょ...。
花火、したかったんだもん。