第23章 合宿
赤司くんが話があるからとみんなを先にお風呂に入らせた。
今は赤司くんと二人っきり。
赤司くんに髪を乾かしてもらいながら話をすることになった。
「何故言わなかった?」
「なんのこと?」
「夜眠れないことだ。」
「...言ったって、理解してもらえないだろうから。」
そう言ったら赤司くんがタオルを掴む手を止めた。
「俺はそんなに信用ないか?」
「私は元々誰も信用する気はないよ。どうやったら信用したことになるのかいまだによく分からないし何をどうしたら信用につながるのかもよく分からない。」
「....。...言ってくれれば何かしら対策を...」
「考えた?そんなことするわけないよ。今までの経験から分かってる。あの日のことを話さない限り赤司くんはそんなことしてくれるはずがなかったって。」
「...あの日?」
そこで沈黙が続く。
「あれ?赤司くんと、由良ちゃん?何してるの?」
沈黙を破ったのは赤司くんでも私でもない、さつきだった。
さつきの明るい声が私たちの沈黙を破った。
「二人で何してるの?」
「髪を乾かしてもらってたの。赤司くん、乾かすの上手なんだよ。すごく気持ちよかった。ありがとう。」
「あ、あぁ...。」
立ち上がって微笑んでお礼を言った。
そしてさつきと一緒に部屋に戻るために呆然として何か言いたげな赤司くんを残してさつきの元へ行った。
「じゃあまたあとでね、赤司くん!」
さつきが手を振って別れた。
「由良ちゃん、赤司くんと何話してたの?」
「...ただの世間話。あとは百人一首大会のこととか。」
「楽しかった?」
「うん。とっても。」
赤司くんといられるだけですごく幸せだったよ。
話は暗かったけど髪を乾かしてもらってとても充実した時間だった。