第23章 合宿
「...そうか。」
監督はそれ以上何も聞いて来なかった。
私も聞かれない以上は何も話すつもりはなかったからよかった。
「昨日の話だがね、試合は昼食を取ってからすることになっているから柏木の好きな時に来ればいい。」
「...好きな時?」
「あぁ。最初からでも途中からでもいつでもいい。」
「...うん。」
「さて、そろそろ朝食の時間だ。」
布団から出てだるい体を立ち上がらせる。
クーラーは一旦切って部屋を出て食堂に向かった。
食堂に行くとすでに部員たちは揃っていて最後に来たのは私たちだった。
昨日も同じような光景を見たような...。
監督と別れて自分の席に向かう。
そういえば忘れてたけど虹村さんと赤司くん、二人とも怒ってるかな...。
怒ってなくてもきっと呆れてるよね。
そんなことを思いながら自分の席に着いた。
「柏木、朝のこと覚えてるよな...?」
「....。」
虹村さんが怖い顔をしてこっちを見ているのに気づかないふりをしてまっすぐ食事の方を見る。
そして、完全無視を決め込むことにした。
赤司くんは特に何も言わないが、それが逆に怖い。
食事係の号令でみんな食べ始める。
食事を見ても食べる気にはならなかった。
いつかの食欲はどこへ行ってしまったのだろうか。
ため息をついた。
食事の時間だけ代わってくれるって言ってたのに...みさきなでしこの馬鹿...。
声すら聞こえてこないんだから...。
ま、私のせいだから仕方ないけど。