第23章 合宿
部屋に戻るとさつきは布団を畳んで起きていた。
「おはよう、さつき。」
「あ、由良ちゃんおはよう!相変わらず起きるの早いんだから。」
「...さつきも早いと思うけど。」
「それ由良ちゃんが言っちゃうの?」
さつきが笑う。
「さ、朝練の準備しよう?」
「うん。」
そう言って洗面所に行った。
今日は寝ないように気を付けよう。
だから、自販機に売っていたブラックコーヒーでも買おう。
お金を持ってさっきまでいた自販機のところに行く。
お金を入れてブラックコーヒーのボタンを押す。
「あれ、柏木?」
名前を呼ばれたから振り向いたら虹村さんがいた。
「何してんだ、こんなところで。」
「....。」
咄嗟に買ったコーヒーを隠して立ち去ろうとしたが、手を掴まれコーヒーを買ったことがばれてしまった。
「なーに無視して立ち去ろうとしてんの?」
「...離して。」
「飲み物買うの禁止だってしおりに書いてあるの知ってるだろ。」
「...そうだっけ?」
虹村さんと視線を合わせずとぼける。
「とぼけんじゃねぇよ。」
面倒くさいのに掴まっちゃったなぁ。
どうしよう。
ふと虹村さんの方を見ると、目つきの悪い凶悪面がこっちを見ていた。
私は掴まれていた手に持っているコーヒーを手を緩め落とし、虹村さんに掴まれていない方の手でそれを持って、足で男の一番弱いところを思い切り蹴った。
「...っテ、テメェ...!」
虹村さんが股間を押さえて後ろによろめいた隙に掴まれていた手をバッと自分の方に引き寄せ部屋まで走って逃げた。