第4章 多重人格の私
?side
「....ん~....。」
唸ってから目を開ける。
「あれ、ここどこ。」
体を起こして、見たことのない景色に首を傾げる。
「あら?目、覚めた?」
知らないおばさんがこっちを見て微笑んでいる。
「誰?」
「ああ、ごめんなさい。
初めまして、私は保健医の小暮。よろしくね、柏木さん。」
「あ~、よく分かんないけどよろしく~
てかここどこ?」
「ここは保健室よ。さっき虹村くんがここまで運んできてくれたの。覚えてない?」
「さあ?私寝てたし覚えてない。」
「そう....。
バスケ部は終わるのにもう少しかかりそうだからまだ寝てなさいな。」
「そ?じゃあ遠慮なく寝させてもらうわ。
おやすみ~」
保健医の小暮さんに軽く手を振ってベッドに倒れこむ。
目を閉じたら、寝るのにそう時間はかからなかった。
由良side
辺りは暗かった。
真っ暗だった。
右も左も上も下も分からなくて自分の足すら見えなくて暗闇に飲み込まれそうな感じがした。
走っても走っても暗闇から抜け出せなくて怖かった。
自分一人ではどうすることもできなくてうずくまっていたら、上の方からなにやら話し声が聞こえてきた。
「.....柏木.....」
私の名前、呼んでる....?
いや、きっと気のせいに違いない。
私のこと気にしてくれる人なんているわけない。
すると、もう一回声が聞こえた。
「....柏木!」
さっきよりはっきり聞こえた。
私の名前を呼ぶのは誰....?
その声の主が分からなくてその声が聞こえるところに手を伸ばす。