第23章 合宿

不意に赤司くんの方に顔を向けた。


「赤司くんて...綺麗な顔してるね。」


「それは、褒められているのかな？」


「うん。褒めてる。」


「...ありがとう。」


複雑そうな顔の赤司くん。


「...綺麗は嬉しくない？」


「そう、だね...。」


「ふーん。...赤司くんを褒める言葉、難しいね。」


「何故、俺を褒める言葉を探しているんだ？」


「...暇だから。...カッコイイ、は言われ慣れてそうだし、美人...。うーん。」


「柏木...止めないか？それ考えるの。」


「...外見のことは言うの止める。...頑張り屋さん、ていうのはどう？」


「俺が、か？」


「うん。...たった一人の一言のために頑張ってる頑張り屋さん。」


私がそういうと赤司くんは黙ってしまった。


「....。...ねぇ、私の話、少し聞いてくれる？」


「聞いているだろう？さっきから。」


赤司くんの言葉を無視して続ける。


「...人の心って壊れたらどうなると思う？」


「え？」


「...壊れちゃったらね、中身は空っぽのただの人形になっちゃうの。...壊れたものは直せても決して元には戻らないんだって。」


「何が言いたい？」


赤司くんの顔が険しくなっている。


「...だからね、気を付けてねっていうお話。この話はこれでおしまい。ねぇ、最後に一つ、いい？」


「なんだ？」


「...赤司くんの顔、触りたい。」


「は？」


「赤司くんの顔、触りたい。」


「....。」


「赤司くんの...」


「もう言わなくていい。分かってるから。...いいよ。」


赤司くんからの許しが出たから遠慮なく触らせてもらう。