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トリップしちゃいました

第23章 合宿


そろそろ部屋に戻ってポーチ持ってトイレ行ってこの顔隠してみんなにも自分にも嘘ついて。


なんか虚しいなぁ。


そんなこと言ったら私の今までやってきたことだって全部...。


首を横に振って余計な考えを払う。


気分転換に歌でも歌おうと昔さとりんに教えてもらった曲を歌う。


この曲はホラーアニメに使われてた曲で歌詞が不気味というか怖いというか。


でも私はそれが好きでよく聞いていた。


みんなには悪趣味だ、とか言われてたけど気にしなかった。



歌を歌いながら部屋に戻りトイレに行ってメイクし再び部屋に戻りポーチを置いてから廊下に出て歩き回る。


歌はその間歌ったまんま。



外が明るくなってきた。


最終的には自動販売機のところに戻ってきてその窓の方を見ながらずっと歌っていた。


ここは女子と男子の部屋の丁度境になっているからそろそろ起きだす部員にこの歌が聞こえるかもしれない。


その時はその時だ。そのまま聞かせてあげよう。



「柏木?」


誰かに呼ばれた気がしてそっちを向く。


赤司くん。


歌い続けていたから名前を呼べなかった。


「お、おい...!」


だから赤司くんの手を掴んでベンチの前まで強引に引っ張って肩を押して座らせた。


歌い終わってから赤司くんの方を向いた。


「その歌はなんという歌なんだ?」


「...何だったかな。忘れちゃった。」


「なんというか、不気味な歌だね。」


「うん。でもね、好きなの。歌詞が。」


「へぇ。...ところで柏木、今日は寝られたかい?随分早起きのようだけど。」


「うん。今日は大丈夫だった。だから気分よくなっちゃって歌ってたの。」


私、うまく笑えてるよね?


「そうか。それは良かった。」


「...もうすぐみんな起きてくるよね。」


「そうだな。」


足をベンチの上にあげて体育座りしてその上に腕を重ねて頭を乗っけて赤司くんのいない方を向く。


「はやく...起きないかなぁ、みんな。」


そんな言葉を誰に言うでもなく呟いた。
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