第23章 合宿
赤司くんに部屋まで送ってもらい、お見送りして赤司くんが見えなくなるまでその場に立っていた。
その後部屋に入ると、さつきが布団の用意をして待っていた。
「由良ちゃん、もう寝る時間だよ。どこ行ってたの?」
「...ちょっと呼び出し受けてた。」
「呼び出し?」
「うん。...さつきが思ってるようなことは何もないから安心してよ。」
「えっ...!」
「...もう寝る時間なんでしょ?早く寝よ。」
変な顔をしているさつきを無視してさつきの用意してくれた布団に潜りこむ。
さつきも電気を消して隣の布団に入る音がした。
「由良ちゃん、明日も頑張ろうね。」
「うん。」
「おやすみ...。」
「おやすみ。」
しばらくしてさつきの寝息が聞こえてきた。
今日は私が途中でダウンしたからさつき一人で頑張ったもんね...。
布団から出てその上に正座する。
「ごめんね、さつき。」
そういえば昨日はさつきの寝顔なんて見てなかったなぁ。
誰かと寝るなんて久しぶりで怖くて。
まるで死んでるみたい...。
あの時とおんなじ。
震える手でさつきの頬を包み込むようにして触る。
あったかい。
次はその手を首に。
血管からドク、ドクと生きている証が手から伝わってくる。
あの時とは違う。
大丈夫。
あ、そうだ。
布団の上から退いてシーツを引っ張り出してそれをぐちゃぐちゃに丸める。
これでさつきに見られても大丈夫。
布団で眠るさつきを見た。
どうして私がこんなことしないといけないの?
虹村さんに叩かれたの痛かったなぁ。
さつきがいなければ...こんな苦しくなくてよかったのに。
突然そんな思いがこみ上げてきた。