第23章 合宿
「...眠れない原因は分かってるから、放っておいて。」
「原因分かってんなら早く改善しろよ。」
そんな簡単に解決出来てたらこんなに苦しんでないのに。
「...うん、そうだね。」
まだまだ時間がかかりそうだよ。
「柏木、原因はなんだ?」
赤司くんにそう聞かれて二人の方を向いて壁に体を預けた。
「...私が寝たらね、さつきが死んじゃうの。」
「は?」
「なんだそれ?」
赤司くんと虹村さんがポカンとした顔になる。
「だからね、私は寝ちゃいけないの。」
「あのなぁ、そんなことあるわけないだろ。」
「....っていう私の妄想!」
私は笑顔で言う。
いつから私は嘘をつくときに笑顔を作るようになったんだろう。
「お、まえなぁ...!」
虹村さんが私に近づき私の頭を叩いた。
「変なこと言うなよ!」
なんというか怒っているというか呆れているというか。
そんな顔だった。
「ま、いいけどよ。今夜はちゃんと寝ろよ。」
そう言って虹村さんは私に背を向けて手を軽く振って行ってしまった。
そういえば忘れていたけど赤司くんは....。
赤司くんは私の方をじっと見ていた。
「...赤司くんも部屋帰ったら?」
「柏木、さっきの桃井が死ぬという話は本当にお前の妄想か?」
「そうだよ。」
「もし今日寝られなかったら明日俺に言ってくれ。コーチと相談して昼寝の時間を設けてあげるから。」
昼寝の時間...?
赤司くんのよく分からない提案に首を傾げた。
「さあ、もうそろそろ就寝の時間だ。送ってあげるから部屋に戻ろう。」
「うん。」
赤司くんが歩き出したから私もちょっと慌てて後ろに着いていった。