第23章 合宿
「...紙とペン、ちょうだい。」
「いいが...何をするつもりだい?」
「ちょっと...。」
「言いづらいなら言わなくていい。」
紙とペンを渡しながらそう言われた。
「...さっきの試合の、みんなの動き、書いとこうかなって。」
「ビデオも何もとっていないが、書けるのか?」
「...うん。」
「それはすごいな。出来上がったら見させてもらってもいいかね?」
「いいよ。」
返事をしてから黙々と書き始めた。
「...出来た。」
離れたところで本を読んでいる監督の元に行き紙を渡す。
「ほう、よく書けているじゃないか。」
「うん。」
なんかよく分かんないけど褒められたから嬉しかった。
「あげる。」
「いいのか?」
「...使わないなら捨ててもいいし、好きにして。」
「捨てはしないさ。ありがたく使わせてもらうよ。」
監督は紙を受け取ってくれた。
「...そうだ。いい案があるんだが...」
私は首を傾げた。
「真田さんと赤司には私から伝えておこう。それでいいかね?」
「うん、いい。」
監督の提案を飲むことにした。
「少し大変かもしれんが明日からよろしく頼む。」
「うん。」
「...そろそろ夕飯の時間だな。」
監督が突然時計を見てそう言った。
立ち上がり、私を立ち上がらせ部屋から出て食堂に向かう。
食堂に着くともうみんな集まっていて最後に来たのは私と監督のようだった。
監督と別れて自分の席に着く。
赤司くんと虹村さんの間。
「柏木おせーよ。」
「体調はどうだ?」
「...大丈夫。もう元気。」
「...よかった。」
席に座ってすぐ虹村さんには不満をぶつけられ、赤司くんにはさっき体育館で会ったにも関わらず心配してくれた。
やっぱり赤司くんは優しいな...。