第23章 合宿
「どうだ?いつもと違う景色で見るバスケは。」
「...変。」
「ははっ。」
「...でも、いつもみんながどんな動きしてるか分かんなかったから新鮮。」
下で行われている試合から目を離さずにそう言った。
「そうだろう?」
体育館にホイッスルが鳴り響いた。
どうやら試合が終わったようだ。
「下りよう。」
監督のあとについていく。
みんなは休憩していて結構ぐったりしている。
今日の練習も結構きつかったのだろう。
監督はコーチと赤司くんが一緒にいるところへ向かった。
それに気づいたコーチが私に声をかける。
「柏木、もう具合はいいのか?」
「...はい。」
「そうか。もう戻れそうなら戻りなさい。」
もう戻らないといけないのか...。
「待って下さい、真田さん。柏木にはもう少し休養が必要です。具合はいいかもしれんが戻ればこの子はまた無理をする。」
監督はコーチにそう言って私の手を握ってきた。
「...暑いから手、離して。」
「私と手を繋ぐのは嫌か?」
「....。...嫌。」
迷った末にそう答えた。
「柏木、その方は監督だ。きちんと敬語を使いなさい。」
あ、そういえば...私、この人にずっと敬語使ってなかったなぁ...。
言われて思い出す。
「あぁ、それはいいんだ。私が敬語を使わなくていいと言ったんだ。」
「...そうでしたか。」
コーチは納得してない感じの顔で頷いた。
私は監督に手を引かれたまま監督の部屋に戻った。
そこが結局一番涼しいからだ。
「疲れたならそこの布団に横になるといい。」
部屋に着くなりため息をついた私を見て監督が布団を指差した。
「...いい。」
「強制するつもりはないし君の好きにするといい。」