第23章 合宿
由良side
自然に目が覚める。
昼寝で誰かに起こされないなんて珍しい...。
そんなことを思いながら体をゆっくり起こした。
「目が覚めたか?」
声のした方を向く。
「...覚めた。」
「具合はどうだ?」
具合...?
どうなんだろう。
「...分からない。」
「そうか。...もう少し寝ているといい。顔色もあまりよくないようだ。」
そういえば、この人...誰?
「...これ以上は、寝ない。」
「何故だい?」
「...昼寝をしすぎると夜の睡眠に影響が出るから。」
「柏木の好きなようにするといい。」
「...どうして、私の名前、知ってるの?」
「知っているさ。普段は私のことを見かけないだろうが実は体育館にはいるんだ。上から見ていてね。」
人の好さそうな顔で笑って言う。
そこまで言われて思い出した。
「...白金監督。」
「おや。知っていたのか?」
「...思い出した。」
布団から出て四つん這いで監督の元に行く。
「...無理、しないでね。」
「あぁ。...そうだ。これ、飲むかい?」
「...飲む。」
監督からもらったのはどこかにいっていた私の水。
のどが渇いていたのを忘れていた。
「君は不思議な子だな。」
監督の隣で壁に寄りかかってちょびちょび水を飲んでいたらそう言われた。
「.....。」
「上から見ているとね、色々見えるんだよ。君は日によって雰囲気が全く違う。まるで複数の人間が君を演じているように見える。」
言われていることを理解して俯く。
「...気持ちわるい?」
「いいや。」
「....。...一度壊れたものは直すのに時間がかかったり場合によっては直すことができない...。...直せたとしても前とおんなじなんて無理。」
自分でも変な話を監督にしているのは分かる。
話が噛み合ってないようで噛み合っていることも。