第23章 合宿
赤司くんに抱っこされていると分かるまでに数秒かかった。
普段ならこの状況になにか言い返したかもしれないが今はそんな気力もなく赤司くんの腕の中におさまっていた。
体育館の中に一旦戻ってコーチに指示を受け、私は比較的涼しくクーラーが備え付けてある監督の部屋で休むことになった。
部屋に着くと用意されていた布団に私は寝かされた。
「...ありがとう。」
ぼーっとする意識の中なんとかそれだけ言う。
「あぁ...。」
「赤司、くん。」
「なんだ?」
「...ちょっとだけ...ほんとにちょっと、だけだから...寝て、いい...?」
「あぁ、ゆっくりお休み。」
赤司くんの優しい声が聞こえた。
「...ごめんね、赤司くん。」
それだけ最後に言って、襲ってくる眠気に抗わず眠気の底に沈んでいった。
赤司side
柏木が夏に弱いことは分かっていたし注意して見ているつもりだった。
しかし柏木は結局倒れてしまった。
俺の完全な不注意だ。
布団の中で眠る柏木を見る。
普段見ている顔より幼い顔をして寝ている。
しばらくして監督が部屋にやってきた。
「柏木の具合はどうだ?」
「今は落ち着いているようです。」
「そうか。...赤司、ここは私が見ているからお前は体育館に戻りなさい。」
「はい。」
俺は立ち上がり部屋を出る間際に
「では柏木のこと、よろしくお願いします。」
と言ってから部屋を出た。
赤司side終わり