第23章 合宿
「これ、どうしよ...。」
自分の膝にかかっているものやその辺にまきちらしたものを見た。
気持ち悪い。頭も、痛い。
吐き気は治まったけど気持ち悪さが残っていた。
水道のところに寄りかかってぼーっと自分の膝のあたりを見つめた。
「柏木、何をしているのだよ。」
不意に緑間くんの声が頭上から聞こえて無意識だとは思うが咄嗟に自分の吐いたものを隠すようにして日傘をそこに置いた。
「赤司が呼んでいるから早く来るのだよ。」
それだけ言うと緑間くんは体育館の方に戻ろうと身を翻してスタスタ歩いていった。
そして少ししてから止まった。
「何をしているのだよ。早く来い。」
私の方を見てそう言う。
私は自分が立てないことをしているから返事も何もしないで緑間くんの方をぼーっと見ているだけ。
でもふと何か感じたのか緑間くんが私に近づいてきた。
「具合が悪いのか?」
「...わる、くない。」
「明らかに悪そうなのだよ。赤司を呼んでくる。」
そう言って走って行ってしまった。
「具合が悪いと聞いたがどうした?」
どうしたと聞かれても頭が回らなくて聞かれてることの意味が分からず首を横に振るしか出来ない。
「首を振っているだけでは分からないんだが。」
赤司くんが日傘を私の膝の上から退ける。
「っ...吐いたのか...?」
「...ご、ごめ...なさ...。」
自分でもなんで謝っているのか分からないが口から勝手に言葉が出た。
「緑間、コーチにこのことを知らせてきてくれ。」
「分かったのだよ。」
緑間くんが走って行ってしまう。
「柏木、歩けそうか?」
首を傾げて赤司くんを見た。
「...無理そうだね。」
赤司くんはそう言うと、私の膝の下に手を入れてもう片方の手を背中に添えた。
自分の体がフワッと宙に浮くのが分かった。