第23章 合宿
「私顔洗いに水道行くけど由良ちゃんも行く?」
「私は...さっき洗ってきたからいいや。」
「そっか。じゃあちょっと行ってくるね。」
「うん。」
さつきが部屋から出ていくのを見送ったあと、敷かれている布団を片づける。
まず私の布団を畳み、そのあとにさつきの布団を畳んで端の方に寄せる。
カーテンも開けて窓も網戸にして開けた。
「もうみんな、起きたかな。」
部屋でじっとしているのも暇だから部屋の外に出てみた。
さっきより空が明るくて気温も少し上がったみたいだ。
廊下を歩いてしばらくした頃、角を曲がろうとして誰かにぶつかって少し後ろによろめいた。
「...ごめんなさい。」
昨日の夜もこんなことあったよね...。
「あ、柏木っちおはよう!」
黄瀬くんだった。
「...朝から元気だね。」
「早くバスケやりたくて!」
...そういえばスルーしちゃったけど呼び方変わってる。
○○っちって確か、認めた人につけるやつ、だっけ?
「足、治ったみたいだね。...良かった。」
「柏木っちのおかげっスよ!ありがと!」
「ううん。...私は何もしてないよ。」
「そういえば気になってたんだけど、...メイクしてるっスよね?」
「っ。...分かる?」
「いや、全然分かんないっス。」
「...ちょっと血色悪くて。...誰にも言わないでね。」
「もちろんっスよ!じゃ、またあとで!」
さわやかな笑顔を振りまいて行ってしまった。
黄瀬くんとちょっと話して疲れちゃったから部屋戻ろうかな...。
ここにいると男子たちの声がよく聞こえる。
みんな起きてきたようだ。
はぁ...早く赤司くんに会いたい...。
そんなことを思いながら部屋に戻った。