第23章 合宿
「おやすみ、由良ちゃん。」
「うん。おやすみ。」
二つ並べられた布団の右に私、左にさつきが寝ている。
私はいつもならぬいぐるみと添い寝するのだが、さすがにここにまでぬいぐるみは持って来れなかったから仰向けで天井をじっと見ていた。
しばらくして隣からさつきの寝息が聞こえてきた。
今日一日部員もハードだったが私たちマネージャーもかなりハードだったから疲れたのだろう。
「...おやすみ...さつき...。」
さつきの寝息を聞きながら呟いた。
合宿二日目。
カバンからポーチを取り出してトイレに行く。
まだ空は若干薄暗く時間的にもまだ起きなくてもいい時間だ。
さつきもまだ静かな寝息を立てて寝ていた。
私はそっと部屋を出てトイレに向かう。
トイレの鏡で自分の顔を見る。
目の下にはクマが出来ていて顔の血色も悪い。
ひどい顔だなぁと思った。
持ってきたポーチからみさきなでしこが普段使っているメイク道具を出し、それで薄く、メイクしていると気づかれない程度に本当に薄くメイクした。
ついでにトイレも済ませてトイレから出る。
「みんな早く起きないかなぁ...。」
窓から見える薄暗い景色を見ながらそう呟いた。
「おはよ~」
「...!おはよう...!」
さつきが寝ているため電気が付けられない暗い部屋でじっと体育座りして顔を埋めていたら、布団がごそごそ動く音がしてから紫原くんのような間延びした声が聞こえた。
さつきが起きたから電気を付ける。
「由良ちゃん起きるの早いねー。私も結構早く目覚ましセットしてたんだけどなぁ。」
何故か悔しそうに言うさつき。
「...私もさつきが起きる数分前ぐらいに起きた。」
「それにしては寝癖とか付いてなくない?」
「...私、寝癖はあんまりつかないタイプだから。」
「そうなんだぁ。羨ましい。」
そういうさつきもそんなにひどい寝癖はついていないように見える。