第23章 合宿
「病院~?」
「...私、多重人格だし。」
「ふーん。」
紫原くんはそこにはあまり興味がないらしい。
「何故そう呼ばれているんだい?」
「...妖怪さとりみたいに人の心を読むのが得意で怖いから。」
それが私にとっては心地良かった。
「どんな人なんだ?」
「...眼鏡かけてて、自分のことをワシって呼んでて、関西に住んだことないって言ってたのに関西弁で喋ってて、変な人。」
「柏木はその人のことが本当に好きなんだね。」
「...うん。...さとりんは、私に色んなこと教えてくれたから。」
自然と笑みがこぼれる。
「...そろそろ時間だし部屋に戻ろうか。送るよ。」
赤司くんが立ち上がったから私も一拍おいて立ち上がった。
「ほら、紫原も行くよ。」
「は~い。」
紫原くんも面倒くさそうだが立ち上がって着いてきた。
「じゃあ、おやすみ。明日に備えてゆっくり休んで。」
「由良ちん、おやすみ~」
赤司くんと紫原くんは私を部屋まで送り届けて行ってしまった。
赤司くん、優しかったなぁ。
そんなことを思いながら部屋に入る。
もう部屋には布団が敷かれていてさつきが一人、布団の上に寝転がっていた。
「由良ちゃんどこ行ってたの?お風呂終わって部屋戻ったら由良ちゃんいなくて寂しかった!」
「...赤司くんと紫原くんと喋ってた。ごめんね。」
「え!赤司くんと?どうだった?」
「楽しかった...。」
さっきの会話を思い出して思わず顔が緩む。
さつきがそれを見て私とさつきの布団の上でごろごろ転がって羨ましがっている。
布団の上でゴロゴロ転がっているさつきを見ているのは面白い。
新種の遊びかな...?
こういう合宿とかの夜の定番は枕投げだって聞いてたけど。
お寿司になっちゃうぞゲーム...?
さつきを見て突如頭に浮かんだネーミング。
我ながらダサいなと思った。