第23章 合宿
「はぁ...まさか捻挫して練習出られなくなるなんて...ついてないっス...。」
黄瀬くんが落ち込んでいるが声を掛けようとは思わなかった。
黄瀬くんはなんとなく苦手だから。
救急箱から湿布とテーピングを取り出して処置する。
「...軽いから、今日一日安静にしてれば明日には出られると思う。」
「本当っスか!?」
「...あんなにきつそうなのによくやろうと思うね。」
さぼれてラッキーとか思わないのかな。
「まぁそりゃあ練習はいつも以上にきついっスよ。でも強くなるためなら何でもできる気がするんス。」
「...黄瀬くん、意外と真面目、だね。」
「アンタの俺のイメージって一体どんなっスか...。」
「...うーん、と。...馬鹿。」
「馬鹿?!ひどっ!」
本当のことだと思うけどなぁ。
「...バスケはすぐ飽きなくてよかったね。」
「は?...まぁそうっスね。」
「...終わった。今日は絶対左足動かさないでね。」
「分かったっス。」
テーピングで足を固定し終わり、同時に黄瀬くんとの会話も終了した。
会話もないまま黄瀬くんの隣にいるのは苦痛だからさっき座ってたところに戻る。
ここの方が風が丁度いい具合に当たって涼しい。
それにしても暑い。
いくら風が当たっていて涼しいといっても所詮は室内。
熱気が籠っている。
そろそろ喉も乾いたし飲み物を飲む。
はぁ...温い...。
ずっとこの体育館に置きっぱなしの飲み物は持ってきた当初より更に温くなっていて飲んでもあまり喉が潤った感じがしなかった。