第23章 合宿
「だからさ、あんまり由良をいじめないであげてね。...ごちそうさまでした。」
そうめんを食べ終わって手を合わせる。
『食べ終わったよー。』
『...怒ってた?』
『誰が?』
『...虹村さんと赤司くん。』
『いや別に。』
『そっか。よかった。』
『ね、由良。合宿中のご飯の時間だけ交代してあげてもいいよ。』
『...ほんと?...じゃあお願いしようかな...。』
『分かった。じゃあそういうことで。』
由良と交代して私は意識の中に戻った。
由良side
目を開けたくない。
みさきなでしこは怒ってないって言ってたけど私が出てきた途端に怒ったりするかもしれないし...。
でもいつまでも目を閉じてる訳にもいかないからゆっくり目を開けて目の前の景色がはっきりするまで何度も瞬きをする。
「柏木、食べ終わったんなら片づけ...。」
「...うん。」
「なんか...また変わった?というか戻った...って言ったほうが正しいのか?」
虹村さんが隣の席で自問自答しているのを眺める。
「柏木、ぼーっとしてないで皿を片づけに行くぞ。」
赤司くんに声を掛けられてそっちを向くと、赤司くんはお椀を持って立っていた。
私もお椀を持って立ち上がった。
ついでに、と思って虹村さんの前にあるお椀も自分のお椀の上に重ねる。
「...おい柏木。」
「...なんですか?」
「なんで俺のお椀もオメーが持ってんだよ。」
「...ついでに持っていこうと思って。」
「いや意味分かんねぇし。自分のは自分で持ってくからいいっつうの。」
虹村さんの言葉を無視して赤司くんを抜いてさっさと水道のところまで持っていく。