第23章 合宿
はぁ...これ全部食べなきゃいけないのか...。
面倒くさいなぁ。
『ねぇ、お昼ご飯のそうめん食べる?』
『食べる!』
『じゃあ交代しよう。』
『うん!』
目を瞑って意識を集中させて起きていたみさきなでしこに話しかけてそうめんを食べる間だけ代わってもらうことを思い付いて交代する。
みさきなでしこside
目を開けて何度か瞬きする。
「おい、大丈夫か?」
目の前がはっきりしてきて顔を上げると、隣の人に声を掛けられた。
「大丈夫、うん。」
隣が誰かを確認せずに反射的に答えた。
「それならいいが...。いきなり独り言言い始めるからなんだと思っちまったじゃねぇか。」
「あはは...。すいません。」
苦笑いする。
て、あれ...ふっつうに会話してたけど私が今会話してんの虹村さんじゃん...!
相手の顔を見て会話していたはずなのに意識して顔を見ていなくて驚いた。
「つか、なんか雰囲気が違うような...。」
「あ、由良と交代したんで。これ、食べるためだけに。」
皿に盛られたそうめんを指差す。
「は?」
「つまりですね、由良は逃げちゃったんです。」
箸を取ってそうめんをつまみ、つゆにつけて口に運ぶ。
「あ、美味しい...。」
「...逃げたってどういうことだよ?」
「どういうことって言われても...。うーん。きっとこれを食べるのが嫌だったんじゃないですか?こんな美味しいのにね。」
そうめんをすすりながら虹村さんの疑問に答える。
「食べるのが嫌だった?」
「うん、そう。由良ってさ、基本誰かに言われでもしないと何も食べないんだよね。」
「それで体は平気なのか?」
「そうみたいだね。私は食べるの好きだからその気持ちは全く分かんないけど。」
「そうか。」
赤司っちが隣に座っていることにも会話し始めてから初めて気付いて一人で会話中びっくりして自分のまぬけさに呆れた。