第4章 多重人格の私
「ここで話をしようか。」
「ま、座れって。」
虹村さんが隣を手で示す。
でも私は虹村さんから1mぐらい離れた位置に座った。
「そんなところじゃ話聞こえなくね?もっとこっち来いよ。」
「.....。」
怖いから隣、行きたくない...。
すると、赤司くんが私のところに来て手を引いて自分と虹村さんの間に強引に座らされた。
「....ここやだ。」
「やだじゃねぇよ。座っとけ。
赤司の言うことが聞けねぇのか?」
赤司くんの言うこと...。
「....聞く。」
「はぁ....なんで赤司の言うことは聞いてくれんのに俺の言うことは聞いてくれねぇの?」
「.....。」
聞かれたが、赤司くんの方を向いて無言を突き通す。
「わかった、もう聞かない。」
あきらめてくれた。
「そろそろ話を始めてもいいですか?」
「おう。話してくれ。」
「柏木はどこから話したい?」
「....昨日の私と今日の私が違うとこ。」
「わかった。
虹村さん、さっき言ってましたよね。柏木の雰囲気諸々昨日と違うと。」
「ああ、言ったな。」
「それは柏木の中に二人の柏木がいたからなんです。」
「は?そんなことあんの?」
虹村さんの頭の中は今、はてなでいっぱいだろう。
「.....多重人格。」
私は赤司くんの言葉に付けたしするようにその言葉を呟いた。
「多重人格?」
「....みんなには理解できない病気。」
「その、多重人格ってやつ、病気なのか?」
「多重人格か....。何故屋上でその言葉を使わなかったんだい?」
「....あの時はいきなり聞かれたから。」
「そうか。」
「で、その多重人格ってのはなんだ?」