第22章 再び登場
俺は言い訳をするつもりはないが、ほとんど表に出ず眠っており先生とたまに1on1したりするだけだし体力もそこそこしかない。
不良さんを煽りはしたが疲れて息が上がっていたのは俺の方だった。
それでももっとやりたかったから不良さんを煽ってもっとと強請る。
その度に乗ってくれて単純な人だと思いながらも久々にバスケが出来て嬉しかった。
「はぁ、はぁ...。」
「もう終わりにしようぜ。」
「ま、まだ...です...。まだ...やりたい...です。」
「オメー息上がってんじゃん。無理すんなよ。」
「無理じゃないです!」
「いやいやいや。そんな息上がってる奴がそんなこと言ったって説得力もなにもねぇって。ほら。」
膝に手を当てて息を整えていたところで肩を押されて床に座らせられてスポーツドリンクのペットボトルを渡された。
「また今度やってやるからさ。」
今度って...この人はいつの話をしてるんでしょう...。
「今度っていつですか?」
「そうだなー。」
「俺はそんな頻繁に出て来れません。出来ない約束はしないで下さい!」
悔しいような悲しいようなそんな涙が流れる。
「なんで出て来れねぇんだ?」
部員もほとんど残らない体育館の隅で二人で座って話す。
「俺は...」
ダメだ...こんな奴に頼るなどあってはいけない...。
「俺は、由良のことを考えるなら出て来ない方がいいので。」
「は?なんだそれ。」
「俺たちは不良さんに分からないほど色々複雑なんです。」
適当な言葉で強引にしめた。
「ふーん...。じゃあさ、オメーが出てきた時にやってやるよ。まぁ、いるっつっても俺卒業しちまうから来年の3月まで有効な約束だ。それでいいか?」
正直すごく嬉しかった。
約束という言葉は俺を縛る言葉だから嫌いだった。
でもこの人はそんなことを微塵も感じさせずに俺との約束を取り付けた。
それが本当に嬉しかった。
「はい!」