第21章 赤司主将
虹村side
柏木は何かを抱えているが、本人が全くそのことについて話してくれない。
だからいい機会だと思った。
別に柏木だけでも良かったが、赤司を連れていったのは柏木が気にいってるみたいだったし今までも柏木と何かトラブルがあった時冷静に対処してくれたから。
絶対トラブルが起こるという確証はないが、もしものための保険的な意味で連れていった。
俺は面倒見がいいとよく言われるが短気だ。
柏木は俺を怒らせるのに長けているから火に油を注いで俺の怒りを爆発させるのが上手い。
柏木を家に連れていくと、なんだかいつもと雰囲気が違った。
緊張しているのか、顔の表情も固くて端っこの方に突っ立ていた。
家から出るとあいつはいつもの雰囲気に戻った。
なんだったんだと思いながら偶然通りかかった公園に寄って飲み物をおごってやった。
柏木は何もいらないと言って断っていたが、自販機の中から好きなやつを選べと言って興味をもったのが炭酸だったからそれを買ってやった。
受け取った柏木はちょっとだけだが明るくなった。
さすがに柏木が泣きだしたときは焦った。
女子を泣かせたらまぁそれは焦る。
柏木の泣いた原因は前面談の時俺が言った言葉だった。
普段泣かない柏木が泣くということは相当傷ついていたんだろう。
多分本人にそのことを言っても認めはしないと思うが。
そして、家族の話になった時、こいつはまたおかしくなった。
柏木にとって家族とはなんなんだろうか。
俺にとっては大事な人たちだしみんな複雑な事情があるにしてもひねくれてなきゃ俺とおんなじようなことを思ってるものだと思っていた。
だが、柏木にとっては俺らに見せた態度から何か家族について特別な思い入れがあるらしいことは分かった。
それがなんなのかいつか分かる日が来ると俺は信じている。
ちなみに、俺ん家を出る直前に柏木が言ったことをお袋に聞いてみたら嬉しそうに答えてくれた。
「今度、たこさんウインナーの作り方教えてください、だって。」
これを聞いた瞬間思わず噴き出してしまった。
虹村side終わり