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トリップしちゃいました

第21章 赤司主将


「...そんなこと言うの、虹村さんぐらいだよ...。」


照れ隠しのつもりでそう言った。


「そうか?」


「...うん。」


一口炭酸を飲む。


口の中で弾ける感覚がいい。



「ねぇ...。」


「ん?」


「夜、だから意味わかんないこと、言うかもしれない...。だからね、気にしないでね。」


「お、おう...?」


虹村さんのお母さんや家のことを思い出してなんとなく話したくなった。


「前、面談した時....相手のこともっと考えた方がいい、って虹村さん言ったでしょ?」


「あ、あぁ。言ったな。」


「...言い訳に聞こえるかもしれないけど、今は、そんなこと、できない...。」


「なんで。」


「だって私、自分の気持ちもろくに分からないんだもん...。」


虹村さんに笑顔でそう伝えたら、同時に頬に何かが伝った。


「お、おい...。」


虹村さんがなぜか慌てているように見える。


「虹村さん、何泣かせてるんですか。」


「お、俺のせいかよ!」


「...柏木。」


名前を呼ばれてそっちを向いたら背中に手を回されて抱きしめられた。赤司くんに。


嬉しいが、今は悲しくて仕方なかったから赤司くんのシャツを握って声を押し殺して泣いた。



「落ち着いた?」


「...うん。いきなり泣いてごめん。」


「いや。」


「...今日、虹村さん家に行って分かった。」


「なにが?」


「...虹村さんが家族を大事にするのか。ずっと分からなかったから...。」


赤司くんから離れて俯く。
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