• テキストサイズ

トリップしちゃいました

第21章 赤司主将


「今日はありがとうございました。」


玄関で赤司くんがお礼を言って頭を下げた。


私も頭を下げる。


「じゃあ俺、こいつら送ってくから。」


「由良ちゃん、赤司くん、また来てね。」


虹村さんのお母さんは優しそうな笑みを浮かべて私たち二人に軽く手を振った。


「はい、機会があればまた伺います。」


赤司くんは社交辞令のようなことを言う。


私は頷いておいた。


そして、家を出る直前に虹村さんのお母さんの手を掴んで言いたかったことを言ってから出た。



「オメーさぁ、最後お袋になんて言ったんだ?」


帰り道、虹村さんと赤司くんに挟まれて歩いていた。


「...言わない。」


「言わないって...。教えてくんねぇの?」


「うん。」


赤司くんの足元の方を見て頷いた。


「それにさぁ、家出た瞬間になんか雰囲気変わったよなぁ。」


「俺もそれは思いました。」


「なあ、なんで?」


雰囲気が変わった...?


そんなことを意識していたわけではないので分からなかった。


ただ一つ言えたのは、


「...怖かった。」


「怖かった?なにが?」


「...お化け。」


「は?」


「...お化け。」


「お化け?」


「...お化け。」


「いるのか?あの家に?」


「うん。」


適当なことを言ってごまかしたがきっと気づいているだろう。


それを深く聞いてこないあたりがいい。
/ 432ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp