第21章 赤司主将
「由良ちゃん、どう?おいしい?」
そう聞かれて一瞬どう答えようか迷ったが頷いておいた。
おいしいもなにも今食べてるものが冷たいことしか分からない。
「とても美味しいです。」
赤司くんが私をフォローしてくれるように虹村さんのお母さんにそう言う。
「そう言ってもらえると嬉しいわ。」
そう言って虹村さんのお母さんは頬を赤く染めた。
「赤司みたいなお坊ちゃんなんかの口に合うご飯作るの大変だっつてったしな。」
「ちょっと!....それはそうと二人とも、修造は学校でどう?なにか不満があったらはっきり言っちゃった方がいいわよ。」
虹村さんを横目で睨んでから虹村さんの話になった。
「不満は特にありません。癖のある部員たちをまとめ上げる統率力はすばらしくとても尊敬しています。」
赤司くんの言ったことはお世辞でもかなり嬉しいだろうなと思った。
微笑んだ顔が綺麗で見とれそうになった。
「由良ちゃんは?修造どう?怖くない?」
「....顔、は怖い...けど、....そんな、悪い人じゃ...ない...から、好き。」
なんとか虹村さんの印象を正直に伝えることが出来た。
相変わらず出た声は震え小さかったが言いたいことは言えたので良かったと思う。
「あら...。」
虹村さんのお母さんの方をちらりと見てみると、虹村さんの方を向いてニヤニヤしていてちょっと気持ち悪かった。
虹村さんは気のせいかもしれないが、少し頬が赤かったように見えた。
「うん、でも安心したわ。うまくやれているみたいで。」
「何の心配してんだよ...。」
虹村さん親子は二人で言い合っていて、ちょっとだけ虹村さんのことが羨ましくなった。
私もいつかそんな風になりたい....。
もう叶わないことだと分かっていながらそんなことを思ってしまった。