第21章 赤司主将
「オメーさ、家入った時から妙に緊張してね?」
緊張...?私、緊張してたの...?
自分が緊張していたかは知らないが、ただ漠然とした不安があった。
緊張してないという意味を込めて首を横に振った。
「そうか?ま、肩の力もっと抜けよ。」
そう言われて肩を軽く叩かれた。
それでも肩の力が抜けることはなかった。
「修造とえっと...」
「柏木です。」
「下の名前は?」
「由良です。」
「由良ちゃん、ご飯の準備出来たからこっちおいで。」
「準備出来たってよ。行くぞ。」
虹村さんが立ち上がったのでその後ろを着いていって、料理が並ぶテーブルの席に座った。
私は虹村さんのお母さんの隣に座り、私の前が虹村さんでその隣が赤司くんという席になった。
並んだ料理は、サラダうどんときゅうりの漬物で、夏にぴったりなメニューだと思った。
「「「いただきます。」」」
各々食べ始めた。
私は自分の前に用意された箸をじっと見つめたあと、それを右手で持つことに苦戦していた。
いくら右で文字を書くことが出来たって右での箸の持ち方はあまり練習していなかったためできなかった。
力加減がうまくいかず箸を床に落としてしまうほどに。
「柏木、ほれ。」
床の箸を拾うため椅子から一旦降りて箸を拾ったところで、その箸を取り上げられてフォークが渡された。
「箸がうまく使えないんならそっち使えよ。」
「....あ、り、がと、う。」
お礼を言ったはいいが、出した声はなぜか震えて小さくよく耳を澄ましていないと聞こえないくらいで自分でも驚いた。
「おう。」
虹村さんはそれを気にした風もなく椅子に座ってまた食べ始めた。