第21章 赤司主将
「もうご飯の準備出来てるから修造は着替えて手、洗ってらっしゃい。」
虹村さんのお母さんはそう言うと、リビングらしきところに行ってしまった。
「柏木、悪ぃな。うちのお袋が。」
虹村さんにそんなことを言われたが嫌じゃなかったため首を横に振った。
「そっか。それならいいんだけどよ、嫌ならちゃんと言えよ?あの人結構強引だから。」
声を発さずに頷く。
いつまでも玄関にいるのもあれだからと言われリビングに通された。
通されたはいいがどうすればよいか分からず赤司くんと二人で立ちすくんでいた。
「二人とも、そんなところに立ってないでテレビの前のソファーに座っていいのよ。」
二人で困っていたら虹村さんのお母さんがキッチンから声を掛けてくれた。
「はい、ありがとうございます。...あの、何かお手伝いしましょうか?」
赤司くんはお礼を言ったあとすぐにキッチンの方に行き、虹村さんのお母さんに手伝いを申し出た。
私はその場から動けずにいて、そんな赤司くんと虹村さんのお母さんをじっと見ていた。
虹村さんのお母さんは赤司くんの申し出を嬉しそうな顔で受け、手伝ってもらうことにしたようだ。
赤司くんが虹村さんのお母さんに言われて皿をテーブルに並べている。
「お。おいしそうな匂い...。」
虹村さんが部屋に入って来た。
「...オメー、そんなとこで何やってんの?」
それが私に向けられた言葉だと分かったのは、虹村さんが変な顔をして私の目の前で手を振られてからだった。
私は何も言わずなんでもないという風に首を横に振った。
「そっか。そんなとこに立ってないでこっち座れよ。」
虹村さんに強引に手を引かれてようやく足が動いた。
テレビの前のソファーに虹村さんと一緒に座る。