第21章 赤司主将
「最初からそうすりゃいいんだよ。」
そう言って軽く頭を叩かれた。
「...暑いから離れて、ください。」
「あ?あぁ...。」
ただでさえ暑いのに隣に暑苦しい虹村さんがいるとさらに暑く感じた。
「そういやオメーって...あんまり汗とかかかねぇ方?」
虹村さんがこっちを見て言ってきた。
汗...?
自分の顔とか首とかを触ってみて汗が出ているか確認する。
今まであまり気にしたことがなかったが、今触ってみて汗をあまりかかないタイプだということを知った。
「...そうみたいですね。」
「そうみたいですねって...。知らなかったのか?」
虹村さんの言葉に頷く。
「はぁ...。」
なぜかため息をつかれた。
「オメー、自分のこと知らなさすぎだろ。」
自分のことを知らなさすぎ...。
それは...そうかもしれないね。
「そう、ですね...。」
だって本当に自分のことが分からないんだもん...。
私は俯いた。
本当に...なんで自分のことなのにこんなに分からないんだろう...。
俯いたら、また頭に手が乗った。
「なーにそんな暗い顔してんの。」
「...ごめんなさい。」
「謝んなくていいから。」
「....。」
「...オメーさ、今日俺ん家にご飯食べに来いよ。」
「えっ...。」
「決まりな。部活終わったらちゃんと待ってろよ。」
そう一方的に言われてしまった。
虹村さんはすぐに練習に戻ってしまったため、何も言えなかった。
でも、どこかで楽しみにしている自分もいる気がした。