第21章 赤司主将
「驚いたな。まさか利き手と逆の手でも書けるとは。」
「...練習させられたから。」
「させられた?誰かにやらされたのか?何故?」
「...えっと、...前にも同じようなことがあって、それで...。」
自分の左手を見つめてそう言った。
「そうか。じゃあ、書けるところまで書いてくれ。できるだけ早く仕上げたいからね。」
「うん。」
赤司くんの期待に応えるために頑張ろうと決めた。
そろそろ部活に行くと赤司くんが言ったので私もベッドから降りて着いていった。
先生の置手紙に部活に行く旨を書いて保健室を出た。
「本当に大丈夫か?」
「うん。」
心配してくれていることが嬉しくてつい口元がにやけてしまう。
赤司くんは着替えに部室へ行ってしまったから、私は先に体育館に向かった。
着くと、いきなりさつきが突進してきて抱き着かれた。
勢いよく抱き着かれたからさつきを支えられなくて後ろに尻もちついてしまった。
「ごめんね、由良ちゃん...。」
「ううん。」
「体育館で倒れたって聞いて心配してたの!大丈夫?」
「...倒れてないよ。...大丈夫。」
「えっ、そうなの?でもきーちゃんは確かに倒れたって言ってたんだけどなー...。」
さつきがおかしいな、と言いながら首を傾げる。
「...座っちゃっただけだよ。多分勘違い。」
「そっか。でも、由良ちゃんが元気そうでよかった!」
笑顔でそう言われた。
心配...してくれたの、かな。
嬉しいな...。
「...心配、してくれて、ありがとう。」
自分で精一杯意識して作ったいびつな笑顔でこの言葉を伝えたかった。