第21章 赤司主将
これ以上言い合っていても仕方ないのでベッドから降りて保健室を出ようとした。
ベッドを降りてドアの前まで来た時、赤司くんに腕を掴まれた。
「...離して。」
赤司くんを睨む。
「逃げないなら離すよ。」
「...逃げない。」
赤司くんは私とじっと視線を合わせてから手を離した。
私は落ち着くためにベッドに戻ってそこに腰かけた。
先生は私たちのために空気をよんだらしくいつの間にか置手紙を置いていなくなっていた。
「しおりのことは聞いているか?」
しおり...?合宿の...?
「...合宿の?」
「聞いているようだね。柏木、君は左利きだろう?」
何で知ってるんだろう。
「うん。」
それがどうしたのだろうか。
首を傾げた。
「左手を怪我しているから文字を書けない。しおりを書くことは出来な...」
「...出来るよ。」
「は?」
「右でも文字、書ける。」
「左利きじゃないのか?」
「うん。左利き。...でも、右でも書ける。」
「...試しに書いてみてくれ。」
赤司くんがシャツの胸ポケットからペンを取り出してカバンからいらない紙を出して私の前に置いた。
私は右でペンを持って自分の名前と赤司くんの名前を書いてみた。
決して上手いと言えるほどではないが読めない字ではない。
少しいびつだが書けていた。