第21章 赤司主将
「柏木、さっきより顔色が悪いが大丈夫か?」
「うん。」
「柏木さん、具合はどう?」
「大分よくなっ...りました。」
よくなったといつもの癖で敬語を忘れそうになる寸前で敬語に言い換えた。
よく思い返してみたら、保健室の先生には敬語を使ってなかった気がしてきた。
先生が自然に会話を続けてくるから気づかなかった。
「起きて早々悪いんだけど、これ。夏休みの宿題と夏休みの過ごし方のプリントとあと通知表ね。」
通知表を渡される時に来学期はもう少し頑張りましょうと言われた。
その後も話を続ける先生の話を聞き流しながら通知表を見たら、3と2がパラパラあった。
授業中も何度か居眠りやらなんやらで授業態度が下がったり定期テストの点が赤点ギリギリだったからだろう。
まぁ気にしない。
「...とまぁこんなものかなぁ。なにか質問は?」
通知表に意識を集中させていて気が付かなかったが担任の話が終わっていた。
「...特にはない。...です。」
「そう。じゃあまた来学期にね。夏休みの宿題、ちゃんと終わらすのよ。」
そう言って担任は出て行った。
保健室には先生と赤司くんと私が残った。
「柏木さん、具合よくないなら家に電話して親に迎えにきてもらうっていうことも出来るけど、どうする?」
「今家に電話しても誰もいないからいい...。」
「そう...。」
「...具合悪くないから大丈夫。」
「でも、顔色悪いわよ?」
「...悪くない。」
意地でも認めない。
認めたらダメな気がして意地でも認めなかった。